2010年7月27日火曜日

ゴミ捨て場 2

彼女に立ち上がってもらい、彼女がいなくなった後のゴミ捨て場を改めて眺めてみた。急に人の温度がなくなって、そこだけ一度二度、気温が低くなったかのように見えた。

ゴミ捨て場って、ちょっと悲しいね。
うん、悲しい。
何だろ、もう要らないってされたものたちが集まる場所だからかな。
そうやって私たち、幾つのゴミを捨ててゆくんだろうね。生きてる間に幾つのゴミを…

その時、湖の端でバーベキューをしていた家族連れが、ゴミを捨てにやってきた。
ぽいっと大きなビニール袋を投げた。そのビニール袋は、くしゃっという音を立てて、ゴミ捨て場の端っこに落ちた。

私たちはしゃがみこんで、しばらくずっと、そのゴミの姿を見つめていた。

ねぇ、私たち、ゴミを出さずには生きていけない生き物なんだね。
そうだね、本当に。
物が溢れすぎていて、だからきっと、ゴミにして捨ててしまうことに対しても、罪悪感、少ないよね。
次々代替品が見つかるからね。
それなのに、アンティークとか言われるものにも、みんな寄っていくんだよね。
そうだね、それが現実だあね。
そんなことならいっそ、自分のゴミを磨けばいいのに。
あぁ、そうかもしれない。きっとそうだね。

そんな私たちの言葉は風に消え、ゴミ捨て場はただしんしんと、そこに在り続けるのだった。