2010年9月1日水曜日

緑破片(6)

思いつめて思いつめて、被害後何年も経って、周りの人たちは容赦なく「もう終わったことなんだから」って言葉を私にぶつけてくる。励ましてくれてるってことは分かってる。でも。
いくら励まされたって、何度でも私は襲われるんだよ。夢の中だけでなく、目を覚ましている時間でさえ、あらゆる恐怖に襲われるんだ。

そう、何度だってやってくるのだ。何度だって私たちは襲われるのだ、あの恐怖に。五年経とうと十年経とうと。
でもそんなこと、被害者以外の誰が知る。

励ますつもりの彼らの言葉が、実は一番残酷に私たちの傷を抉ってくるんだなんて、
誰に言ったら伝わるだろう。
だから私たちは口をつぐんで、必死で笑顔を作るのだ。
そうだよね、もう終わったことだよね、と、
必死で自分に嘘をつくのだ。

何度でも。何度でも。