2010年9月3日金曜日

緑破片(8)

彼女は生きていることに耐えられなくなると、よく腕や足を切りつける。

自分の言いたいことがあったり吐きだしたいことがあって、
たとえば苦しかったとか怖かったとか。
そういうことを言う場所が何処にあるのかもう分からないから言えなくて。
一体私たちは、そういう気持ちを何処に持って行ったらいいんだろう。本当に分からない。こんな重たい荷物、背負い続けて歩くなんて無理なのに。
でも場所が、ない。
場所がないから言えない。そんな言えない自分と、言っても分からないだろう家族や諸々の人たちに対しての絶望感が、
私にそうさせるの。
同時に、
切りつけて切りつけて、切り刻むことで、もう誰にも期待感をもたなくてすむ自分になれるかもしれない、とそう思って切ってしまう。
気づけば辺りは血みどろで。

そんなことが何度も。数え切れないほど

そうだな、それに、
今の自分と、昔の被害遭ったときすぐに抜け出せなかった自分に対しての怒りもあって、その勢いは強くなるばかりで。

気づけば傷だらけの身体になり。

それが彼女の今の身体なのだ。