2010年9月14日火曜日

私が写真を始めて間もなく、よくモデルになってくれたMちゃん。私はMちゃんの瞳がいっとう好きだ。
真っ直ぐに見つめる目。それでいながら決して冷たくはなく。真実を射るように伸びてくるその視線。彼女に嘘はつけない、と、その目を見る度、思ったものだった。

その日、花屋でこれでもかというほどたくさんの花を買って帰り、Mちゃんと二人、部屋に篭った。さて、これで何ができるか。
せっかくだからと、私の長襦袢を引っ張り出してきて、私よりずっと小柄なMちゃんに着てもらった。そうだそうだ、鏡が割れて、枠だけ残った、その木枠があった、と、それも引っ張り出してきた。

狭い部屋の中、ああでもない、こうでもないと形を作りながら、撮影するのは、実は結構珍しかったりする。私たちはたいてい、外に撮影に出るのが殆どだったから。

ふと振り返った瞬間、彼女と目が合った。その目がたまらなく、私の心を射た。私は自然、シャッターを切っていた。

部屋の中、花の匂いが充満していた。その花の色や匂いなどよりも何よりも、彼女の目は輝いていて。真っ直ぐに真っ直ぐにこちらに向かっており。
あぁ、この目だ、この瞳が、私は大好きなんだ、そう思った。