2010年11月8日月曜日

花と瞳

Mちゃんのことをそれなりに長い間撮って来たけれど、彼女はいつでも、凛と立っている人だった。
彼女の幼少期、いじめやらなにやら本当に大変だったことは、さらりと彼女が語ってくれたことで知っている。
でも本当に彼女は、そういったことをさらりと語るのだ。決して重く語らない。どこまでもどこまでもさらりと話してくれる。

今振り返ると、私はMちゃんのことを何処まで知っていたのだろう、と思う。何処まで理解していただろう、と。
Mちゃんはどんなときでも、一本筋が通っていた。
失恋したときも、挫折するときでも。

だからかもしれない。私はMちゃんのそういう姿勢に、とても憧れた。
そして何より、彼女の目に憧れた。

真っ直ぐで、曇りない眼。人を射るわけではないのだけれども、真っ直ぐに向かってくるその瞳は、こちらを捉えて離さず。気づくと虜になっているのだ、彼女のあの瞳の。

その瞳は、彼女が語ろうとしない彼女の生き様を、しかと見届けてきているのだろう。だからこその真っ直ぐさなのだろう。

最近会った時、彼女が、私ってば目力が衰えてきた気がするのよぉ、とおどけながら話していた。私もその時、彼女に合わせて笑った、が。
年齢を重ねた分、柔らかくなったけれど。でも。
彼女の瞳の奥に秘められた輝きは、ちっとも変わっていず。
あぁ、目は口ほどにものを言うというが、本当だな、と、私に思わせるのだった。