2011年5月16日月曜日

三つの楔

もうひとりじゃなかった。私の今在る世界はここに再現されて、それは確かに「普通」と呼ばれる人達から見たら偽物の世界かもしれないがそれでも私にはそれこそが本物で。
寂しさが半分、減った気がした。
ひとりぼっちさが半分、減った気がした。
気づけば私の隣には、モノクロ写真が、在った。

今私の目の前に立つ三本の楔は、くっきりとその影を砂に落としている。何者も寄せ付けないような厳しさでもって、そこに在る。
なのに、何故だろう。私には同時に、それこそがやさしさであるようにも感じられるのだ。余分な期待を抱かせないだけ、やさしい、と。

人は容易に嘘をつく。やさしい嘘をついて人を抱く。
でもそんな嘘、いずれ剥がれる。
その時になってごめんと謝られるくらいなら、最初から何も要らない。