2011年6月21日火曜日

トンネルの先に

あの日の撮影の最後に、この一枚を撮った。
ふらふらして足元の定まらない彼女を、私は片手で支えながら、そうして撮った。撮り終えた後、二人とも、へなへなと座り込んだような記憶がある。約二時間の撮影。夜明けと共に家を出、そうして太陽は今、私たちを照らしていた。

どうして最後にこんなカットを撮りたかったんだろう、私は。
普段殆ど指示を出さない私が、あの時は、こうして、と、強く頼んだ。
彼女の手の中に、その輪の中に、光が欲しかった。彼女がこれから歩く道が、どんなに今暗闇であろうと、その先は必ず光溢れる場所に繋がっていてほしい、そう思った。
ただ、それだけを願った。

明けない夜がないように、彼女の道程がいくら今真っ暗闇であっても、その先には必ず光が待っている。私はそう信じたい。