2012年9月14日金曜日

彼女の肖像(7)

五年後の生存率は僅か五パーセント。
そんな肉体的な病と闘いながら、PTSDにも立ち向かわなければならない彼女。
でも。
生きると決めたあの日から、彼女は必死にその闘いを続けている。
「私はPTSDも克服して、そうして五年後も生きてる人になるの」。彼女は唇を噛み締め、そう呟く。

だから彼女が心弱くなった時の私たちの合言葉はこうだ。
「おばあちゃんになっても茶飲み友達でいるんでしょ」
「かわいいおばあちゃんになるんでしょ」

お互いにそう言って、苦笑し合う。

この関係が、何処まで続いてくれるだろう。でき得るならば永遠に続いてほしい。そう願わずにはいられない。
でも。
終わりは必ずやって来る。そう遠くない将来、必ず。

だからこそ、私たちは今日も向き合う。向き合い、この、張りつめた糸を互いに手繰り寄せながら、必死に生命を叫ぶ。

生きているよ、ここにいるよ、ここに私はいるよ。
と。

2012年9月3日月曜日

彼女の肖像(6)

治療が進むほど、彼女は具合が悪くなった。薬の副作用によって、杖なしでは歩くことも叶わなくなり、歩く速度そのものもがくんと落ちた。椅子に座っていても、骨の軋音が聴こえてきそうなほど痩せ細り、腹水も溜まる一方だった。

身体の病だけじゃない。
心の病も容赦なく彼女に牙を剥いた。度重なるフラッシュバック、悪夢、不眠、眩暈、離人症状。
これでもか、これでもかと、彼女をいたぶった。

何度泣き喚いたことだろう。
何度泣き崩れたことだろう。
それでも。

彼女は「生きたい」と言った。
私生きたいの、生きていたいの!と。