2013年6月20日木曜日

花迷子-6


オトナになりたくない。なりたいけどなりたくない。
そのオトナになりたくないという彼女の言葉には、彼女特有の意味も込められているように感じるのは私だけか。それは、「女性になりたくない」とも聴こえるのだ。
というのも。出会った頃彼女がこうも言っていたからだ。私、自分の女っていう性がキライなんです、と。

「自分が女だというのは信じられないです、正直。
うまく言えないんですが、体ばっかり勝手に大人に(女に)なっていってしまって、小さいころから、女の人に近づいていくのが嫌だと思っていたので、どうしよう、って思っています。
女の人として男の人と向き合うことは、自分の場合のみですけれど、『汚れる』という罪悪感があるんです。
…性ってものを思うと、浮かぶのはだから、私の場合罪悪感です。
でもそれは、女でごめんなさいというよりは、どうしてこういう体なんだろう。どうして女性的なんだろうっていう…。
この体が、誰かの性欲に関わってなければいいのに、と思います」

(「花迷子-7」へ続く)