2013年7月8日月曜日

花迷子-11


二十歳になり、二十歳になったことで「そんな子どもっぽいことを」とか「もう二十歳でしょ」とか、勝手な括り方をされてしまう。それが彼女にとっては自然に滲み出ただけの事柄であっても、他人は勝手に評する。
それに対して彼女は必死に抗っていた。足掻いていた。
それでいいんだと私は思う。どれほど抗ったって足りないだろうとも思う。そうやって、彼女が彼女自身納得のいく人間に辿り着けたなら。
それには、多分まだまだ時間がかかる。彼女はその道中できっとずいぶん傷だらけになるだろう。それでも。
足掻いて足掻いて、抗って抗って。
そうしてひとつひとつ、年を重ねて皺を刻んでいってほしい。そして最後の最後、私は私をちゃんと見つけた、育んだ、と、彼女が納得できますように。

私はそれを、願ってやまない。

(「花迷子」 終 )

2013年7月3日水曜日

花迷子-10


撮影が終わって、彼女に改めて問いかけた。
私に伝えておきたいことってある?と。
すると、こんな言葉が返ってきた。

「男女関係ないお友達だけがいれば、きっと生きやすくなるのにな。でもそうはいかないし、私のような考えのひとは少ないこともわかっています。わかってもらいにくいことだとも、知っています。
だから自分は少女(こども)で通していきたいし、わがまま言っているように見せて変に好かれないようにしてます。
自分がそうすることでしか、女性から抜け出すことはできないのかなって。
でも、人に恋愛感情は抱いてしまうので、いろんなことが悲しくて仕方ないです。

子どもなだけ、ではない。大人になれば、とか年齢的なことでもないと自分では思うんです。諦めるか、貫き通すかしか道はない気がします。いまのところ。
でも、友達でもなんでも、人を愛することは大事なので、それはこれからも胸にしっかりと刻んでおきたいです」

(「花迷子-11」へ続く)

2013年7月1日月曜日

花迷子-9


それは多分。
彼女が今、両極を行ったり来たりしているから、なのかもしれない。
オトナになりたくない。自分が思う納得できるオトナにならなってみたい。
女性になりたくない。そのくせ恋愛感情はしっかり抱いてしまう自分。
いろんなことが、ごちゃまぜになって、今、彼女の中に在った。
だからこそ彼女は、そんな自分に正直に戸惑い、素直に惑っていたのだろう。

(「花迷子-10」へ続く)