2014年2月3日月曜日

ただそこに


思い出す。
最初の頃、彼女は一生懸命カメラの前でポーズを取ろうとし、ピースサインやら笑顔やら必死になっていたことを。
私がそれを全部、要らないよ、と言った。
きょとん、とした顔で、なんでと訊くから、
そんな無理矢理ポーズ作ったって変じゃん、と言ったら、ぽかーん、とされた。

保育園ではみんな、園長先生が写真撮る時、ポーズするんだよ、決まってるんだよ、と言うから
それはそれ、ママの写真はママの写真、きっと違うんだよ、と応えた。

以来、彼女は、どちらかというと仏頂面でカメラの前に立つ。
ふだんから彼女は、どちらかというとぶすっとしている。
だから、それで、いい。

ただ、そこにいてくれれば、それで十分なんだ。
そこに在ることが、大事なんだ。
―――本当は、そう伝えたいのだけれど。

いつか君が気づいてくれることを
願ってる。