2014年4月10日木曜日


海や風が好きなのと同等に、空が好きだ。

表情のある空は、見ているだけでもうどきどきわくわくする。
追いかけて行って、ぎゅっと手掴みしたくなる。
たとえば雲が轟々と音を立てて流れてゆくような空は、もうそれだけで私を狂喜乱舞させる。
嵐に見舞われた空なんてたまらない。

でも、しんと静まり返った空もまた、私は好きだ。
雲がほとんどなくて、風も止み、まるで世界が止まったかのように見える瞬間。
私は、私という体の輪郭がすっと消えるのを感じる。
消えて、境目がなくなって、空の一部になるような錯覚。

息子を保育園に送る道すがら、
病院へ通う途中、
買い物に自転車で走るその途中、

私は隙さえあれば空を見上げる。傘をさしていてさえ見上げる。

そしてふと、立ち止まり、問いかける。

そこに、いますか。
あなたはそこに、いますか。
死んでいった友よ、祖母よ、祖父よ、
みんなそこにいますか。

そして心の中、手を伸ばす。
あなたから私は、今、見えますか。
私はしっかり、生きていますか。

私もいつか、そこへ行けるほどに
しっかり、生きているでしょうか。

と。