2014年9月19日金曜日

友の言葉


これまで生きてきてつくづく思うけれど、どんなことも時間が解決してくれるものよ。そう言ったのは大切な友人の一人だった。その彼女の言葉なのだから覚えておかねばと思いつつ、私はある種の反発を覚えていた。十年ほど前の話である。

時間が解決してくれるわけがない、そんな無責任なことを言ってくれるな。当時の私は、心の何処かでそう思っていた。でも近頃、そうかもしれないと私は思うようになった。
あれほど悩んでいた親子関係も犯罪被害者となったことも、多くの友人の死も。今ならすんなり受け入れられるような気がする。
何故だろう。
忘れられたのか? 
いや、忘れられるものじゃぁない。では何故?

時間である。時間が経ったのだ。時を過ごしてゆく中で私は、それらの荷物をどう背負って歩くのかを、いつのまにか学びとっていた。
もし今また同じことが起こったとして、それがどんな深い傷を私の中に生み出すか言い表すことなどできないが、でも、
私はもう知っている。
それを引き受けながらも生き続けてゆくことの意味を。

時間が解決してくれるものよ。その言葉にどれほど深い意味が含まれているのか、
私は今更ながら噛み締める。